有限会社 中千家具製作所

〒020-0055 岩手県盛岡市繋字尾入野64番地102 TEL:019-689-2151
http://www.ginga.or.jp/morihand/koubou/nakasenkagu/index.html

新作家具の製作にも意欲的

(有)中千家具製作所は、岩谷堂箪笥生産協同組合がある岩手県奥州市から車で1時間半ほどの、岩手県が誇る一流職人を集めた「盛岡手づくり村」の中に工房を構えます。伝統的な箪笥作りのほか、機能的で使いやすい家具の開発を積極的に行い、自由な発想の新作家具をきっかけに岩谷堂箪笥のファンを増やしています。

木と話しっこしながら作ってます

中千家具製作所では、昔から面々と伝えられた技術を生かして種々の特別注文家具を作っており、地元産の銘木を素材に、100年200年と使える家具を作っています。

当社が製作する岩谷堂箪笥の特徴をお話しします。まず目は見事な木目。欅等の天然木化粧合板を使い、漆を何度も塗り重ねて光沢と強さを高めています。この上に金具をちりばめると、独特の表情が完成するのです。
その箪笥を作り上げる最初の作業が「木地作り」。実はこの作業が最も重要といわれていて、木取りから組み立てを一人の職人が一貫して行います。その前に、製材された原木は外に野積みして雨風や雪にさらします。実は箪笥を作る前のとても大切な作業となります。その作業を私どもでは「水で乾かす」と言います。約2~3年さらすとアクが抜けて、狂いや割れが少なくなります。


その「水で乾かした」樹齢200年から300年を数える国産の欅を表面の部材として使い、中の引き出しには、なめらかでとても軽い桐の無垢材を。桐がもつ絶妙な湿気との相性が、中の収納物を大切に守ってくれます。その桐材に話しかけながら、木の釘を一本一本丁寧に打ち付けて、微妙な具合をカンナで調製します。開閉をなめらかにするため、引き出しは奥の方を心持ち細く仕上げます。


そして外観が仕上がった木地に新たな命を与える作業が「漆塗り」。岩谷堂箪笥の高級感と重厚感を出すために、最初に顔料を塗り、その上に漆を何度も重ねて塗ります。一度塗っては拭き取り、また塗っては拭き取り、その作業を繰り返しながら木地に浸透させる「拭き漆塗り」。ここでも何度も何度も話しかけながら、ムラが出ないようヘラを慎重に使って仕上げます。
その材料の漆は高温多湿でなければなかなか乾かないので、その環境を整えた部屋に寝かせながら塗りの作業を重ねていきます。漆は、最初は黒々としていますが、使っていくうちに木目の美しさが際立ってきます。この「漆が冴えてくる」光景をイメージしながら、時間をかけて塗っていくのです。


そしてそこに、金具職人たちの仕上げた渾身の金具を施します。60〜100個の金具を、ひとつひとつ丁寧に打ち付け、岩谷堂箪笥は完成します。
とても時間をかけて製作しますが、親子、孫の世代まで使えるのが岩谷堂箪笥。長きにわたって大切に使って頂けるよう、毎日毎日木と話しっこしながら作っているのです。