伝統の担い手たちへのインタビュー

(聞き手:くろだあきこ)

岩谷堂箪笥伝統工芸士 鈴木高子

ーー女性の伝統工芸士というと、織物や染色などの技術を持つ方が多いですが、木工品での認定は珍しいですよね。

そうかもしれません。認定試験では時間内に木を加工して組み立てますが、体力的にしんどくて、一度目は時間切れで不合格になり、二度目の挑戦で合格しました。

ーー岩谷堂箪笥の伝統工芸士の認定資格は難しくて、一度で合格する人は珍しいと聞いています。基本的な体力の違いもあるから大変そうです。そもそも、なぜ家具作りの仕事を?

ものづくりや手を動かすことは昔から好きでした。以前はサービス業をしていましたが、岩谷堂箪笥で職人を募集していることを知って、じゃあやってみよう、と。

ーーけっこう思い切った転身ですね。

やってみたら楽しかったんです。身長が低いので大きな家具は無理ですが。

ーー身長が関係あるんですか?

はい、鉋(かんな)を掛けるときは、板の全体、端から端までを一気にワンアクションで削る必要があります。途中で掛けなおすと表面に段差ができてしまうので、ひと息に。だから自分の身長より大きなものは担当できません。私の場合は150センチが限度です。

ーー大きなものはどうするんですか?

背の高い職人が担当します。でも、女性に人気のある、小さな家具づくりなら任せてください。伝統的工芸品の家具は頻繁に注文があるわけではないので、「くらしな」シリーズなど伝産マーク(※1)のない家具を作ることも多いのですが、その場合でも釘は使わず、長持ちするように配慮しています

写真左)岩谷堂箪笥伝統工芸士 菊池崇志「大きな家具は、背の高い私が作ります!」

写真右)岩谷堂箪笥伝統工芸士 高橋清利「後継者が育ってくれて、安心です」

※1 伝統マークは「経済産業大臣指定伝統的工芸品」のシンボルマークです。伝統マークをデザインした「伝統証紙」が貼付された製品は、所定の検査に合格した「伝統的工芸品」です。

くろだあきこ インテリアコーディネーター
実家にあった「暮しの手帖」のバックナンバーを眺めて育ち、「住まい」や「暮らし」のことを考えるのが大好きだった子供時代。 中学卒業後に入学した国立高専(5年制の、高校+短大みたいな専門学校)から、大学、大学院まで、専攻はずっと建築でした。 インテリアコーディネーターの資格を持ち、インテリアショップめぐりは趣味のひとつです。これまでに訪れたことのあるショップは、全国各地と海外合わせて300以上。現在は会社勤めをしながら、フリーのライターとして雑誌づくりなどに関わっています。 また、整理収納アドバイザー1級を取得し、片付けやすい&美しい部屋作りのコツについて専門家の立場からアドバイスしています。読売新聞「私・空間」持ち回り連載のほか、雑誌やwebで活動中。