岩谷堂くらしなデザイナー Kazumi Abe

伝統的工芸品である岩谷堂箪笥。その古来より伝えられている伝統、価値観を忠実に守りながらも、21世紀型、あるいは来世紀型の家具を模索しているのが、そのすべての商品デザインを手がけている「阿部和美」さんです。

デザインの先に見据えているものは・・・「人」と「暮らし」

阿部さんは、ニューヨークパーソンズ大学インテリアデザイン科卒業後現地で家具、インテリアデザインに従事。帰国後はKAZUMI abe DESIGNとして、日本各地のメーカーさんと商品開発を行っています。
機能性にやさしさのエッセンスをふりかけ、女性らしいホスピタリティのあるものづくりをコンセプトにデザインを手がけています。

阿部さんが、デザインの先に見据えているもの。それは常に「人」であり、「暮らし」。当たり前のこのように聞こえますが、実際にそれをコンセプトとして感じられる作品ばかりです。例えて言うなら、「日々の暮らしの中の幸せや喜びのようなもの」が随所にちりばめられています。
「自分に無理をしていない」とは阿部さんの口癖。結婚と出産を経験し、子どもとの暮らしを始めて、それまで不便だと思わなかったものに不便を感じるようになったことや、暮らしの中のちょっとした工夫。そういう視点からのデザインが楽しい。特別に変わったものではなく、長く愛されるもの。手の届かないものではなく、暮らしの中に共にあるものを作りたいと考えています。

女性らしいしなやかさを感じるアプローチ

阿部さんの携る仕事は、当組合をはじめ、日本の伝統工芸やメーカーからの依頼を受けてのデザイン、インテリアデザイナーとして直接クライアントと関わる仕事、そして自己表現としてのデザインなど多岐にわたっています。仕事の場所や見た目の表現方法はそれぞれ異なるが、「人」や「暮らし」に対する優しく、時に鋭い眼差しが、常にぶれることなく根底にあります。
彼女のデザインに押し付けや独りよがりな強さを感じないのは、まず使う人と暮らし、そして作り手のもっている技術や強みは何であるかということへの徹底的な探求が前提としてあるから。ものの魅力をストレートに伝えることが阿部さんにとってのデザインであり、デザインに固執せず、自分のスタイルを限定しない。使い手と作り手の間をニュートラルなスタンスで行き来する、女性らしいしなやかさを感じるアプローチなのです。

阿部和美 デザイナー

ニューヨークのパーソンズスクールオブデザイン大学卒業後、現地で家具デザイナーとして従事。
帰国後は、KAZUMI abe DESIGNとして家具をメインに、建築・インテリア・雑貨デザインの分野で活躍中。受賞作品多数。

2008年インテリアライフスタイル展(neON)ヤングデザイナーズアワード受賞
2009年ドイツ/アンビエンテ(Talents)招待デザイナー