インタビュー〜小田俊直

伝統の担い手たちへのインタビュー
岩谷堂箪笥伝統工芸士 小田俊直  (聞き手:くろだあきこ)
ーー小田さんは職人になるために移住されたんですよね。

はい、私自身は神奈川の出身で、大学の時に、伝統工芸の職人になりたいと考えて岩谷堂箪笥生産協同組合に履歴書を送りました。この業界に入ってから知りましたが、岩谷堂箪笥はそういう人が多いんです。

ーー伝統工芸は後継者が見つからないという話をよく聞きますが、岩谷堂箪笥はその点心配しなくていいようですね。履歴書を送ってからは?

履歴書を送った後に事務局から「いまちょうど横浜で物産展をやっていて、実演もしているから、住まいから近いようだし見に行ってみたら?」という電話があって、すぐ行きました。そこでやっていたのが、彫金の実演だったんです。

ーー彫金の職人になりたかったんですか?

実を言うと、履歴書を送った時は木工をやりたいと考えていました。職人に憧れはあったけど、分業している状況(※2)などは知りませんでしたから。

ーー私も産地に取材に行くようになってから知りましたが、どこも分業ですよね。じゃあ、できることなら木工をやりたかったという気持ちも…?

いえ、実演を見たら感銘を受けてしまって。すごい技術があるものだな、と。職人になるなら彫金がいいと思いました。それで、大学を辞めてすぐに弟子入りをしたんです。12年経ったので(※3)、伝統工芸士の資格を取りました。手打ち金具を使った岩谷堂箪笥は少々値が張りますが、「くらしな」シリーズであれば、お求めやすい価格で金具を楽しんでいただけます。ぜひ手に取っていただいて、手打ち金具の美しさを味わってください。

※2 岩谷堂箪笥の制作は、木工・塗り(漆)、金具の分業で行われています。分業体制の方が生産効率が上がるほか、技術の流出にも効果があったとのことで、伝統的工芸品の産地では分業が一般的です。

※3 伝統工芸士の資格取得には、12年以上の実務経験が必要です。 


くろだあきこ インテリアコーディネーター

実家にあった「暮しの手帖」のバックナンバーを眺めて育ち、「住まい」や「暮らし」のことを考えるのが大好きだった子供時代。 中学卒業後に入学した国立高専(5年制の、高校+短大みたいな専門学校)から、大学、大学院まで、専攻はずっと建築でした。 インテリアコーディネーターの資格を持ち、インテリアショップめぐりは趣味のひとつです。これまでに訪れたことのあるショップは、全国各地と海外合わせて300以上。現在は会社勤めをしながら、フリーのライターとして雑誌づくりなどに関わっています。 また、整理収納アドバイザー1級を取得し、片付けやすい&美しい部屋作りのコツについて専門家の立場からアドバイスしています。読売新聞「私・空間」持ち回り連載のほか、雑誌やwebで活動中。