有限会社 藤里木工所

有限会社 藤里木工所


〒023-0171 岩手県奥州市江刺区田原字蟹沢185 TEL:0197-35-7711
http://iwate.info.co.jp/IwayadoTansu/

目指すのは長く愛される箪笥作り

岩谷堂箪笥が現在のスタイルを確立したのが18世紀後半のこと。産業振興を図る岩谷堂領主が、豊富な木材資源と工芸技術を活かせる箪笥製作を奨励したことが発端となり、進化を遂げました。岩谷堂に拠点を置く藤里木工は、この伝統の上にあり、最も工芸的価値の高い岩谷堂箪笥を製作する工房として国内外に広く知られている存在です。
南部鉄器を使った引手(抽斗の金具)を開発し、近代的な岩谷堂箪笥のスタイルを生み出しました。時代に合わせた変化も受け入れつつ、次世代に受け継いでいける丈夫で美しい箪笥を作るため、構造部分には金釘を使わないなど伝統技法を重視する姿勢も崩しません。

より工芸的価値の優れた箪笥を作るために
岩谷堂箪笥の製作は「木地加工」「漆塗」「彫金」と三つの工程に別れ、通常それぞれのスペシャリストが分業で行いますが、藤里木工では全行程を一貫して自社で製作します。
工房の職人ひとりひとりが各工程に深く精通することで、より工芸的価値の優れた箪笥の製作が可能になるからです。こうした製作スタイルは藤里木工の創始者である及川孝一のポリシーでもあります。
及川孝一は「木地加工」「漆塗」「彫金」とすべての工程において卓越した技術を持つ匠です。彼は「隠し蟻継ぎ」と呼ばれる難易度の高い継ぎ手を岩谷堂箪笥製作に導入し、それを伝統技法として確立するなど岩谷堂箪笥の進化に大きく貢献してきました。
「伝統を受け継ぐということは、職人が持てる技と知恵を駆使し、これまで以上に優れたものを作ることだと思います。そして難しい技術が必要とされればされるほど楽しいのです」と語る彼は、これまでに、伝統工芸士、卓越技能士、黄綬褒章匠を受賞。「現代の名工」として確固たる地位を築いています。

職人の原点(職人 及川孝一)

素材を、これがいいとか悪いとか嫌わずに、曲がった木でも節があるような木でも、それをうまく合ったように使って残るものをつくるのが職人だと思います。たとえば、ケヤキにこだわらず、そこにあったものを材料にしてなんでも加工できる。本来なら、余ったものは薪にしても使えるんだけんど、薪にして灰にして暖をとるんだったら体を暖める役に立ってくれますし、そういう風にして影も形も無くしてしまうよりも、木の場合は自分が切らなきゃ、何百年も生きて、大きくなって、年を経た立派な木になるんです。
木は年を経ていくことによって、ごつごつしても丸くなる。職人の仕事っていうのは、マグロでいえばトロのようないいところばかりではなく、頭も使える、骨も使える、そう言うことだと思います。だから、それを全部使いこなせる職人になるには何年かしないことには、そこまでわかってもらえない。真直ぐな、鉋のかけやすいような木ばかりを使ってたんじゃ、材料になるところの過程で、節もあれば曲がりもある、虫喰ったところもある、いろいろあるんだけっとも、それをそれなりにうまく使いこなせるようになって、そして無駄のない使い方をすれば、木も生きる。それがやがて何年か経っても価値が出てくる。

人間と同じで医者にかかんなければならないこともある、木もそう、家具だってそうなんです。そのとき、健康診断をしてやって、ちょっと手を加えれば、寿命を延ばしてやることだってできる。
職人っていうのは、自然を無駄の無いように使う、使いこなす、使ってる過程で節が出て来た、その節をとって捨ててしまうんじゃなくて、節の分も使う。その箪笥に無理なところには、小さなものに加工するとかすれば、材料には無駄がないし、その木も有効に使うことになる。
箪笥をつくっていて思うことは、そういうことです。
職人の原点とは、そういうことだと思います。

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